「2年先の計画」をひとつ持つ

みなさんが、携帯電話を持ったのはいつのことでしょうか。

若い世代の方なら、中学・高校時代から持っていた、というのも普通のことかもしれません。どのくらいの方が、経験しているかわかりませんが、交換日記とか文通と言うものをしたことが有りますか?

社会人になってから、そういったことをやる機会というのは、まったくと言っていい程ないと思いますから、「学生時代までに」経験したか?ということになるかもしれません。

「あの頃はさ…」というお話は意味がないので、どうやったら体験できるかというと、イメージとしては、最低3日間は、友人や恋人などとのLINEやメールを開かない、電話もしない。という感じでしょう。こうしたことに限らず、私たちは、仕事の上でも「待つ」ということが大変苦手になり、また「相手を待たせる」ということが「悪」であるかのような感じになっていることに気が付きます。

電話口でも、「少々お待ちください」といって、しばらく確認などをした後に「大変お待たせをいたしました」と決まり文句にして言うようにしていますが、実際は、数十秒のことです。

こうしたことの弊害が大きく出てくるのは、他者ではなく、自分に対してではないかと感じる例が、この頃多く見られるようになってきました。

脚色してお伝えしますが、以前こんな事例がありました。

医学部に通う女性で、大学入学を機に親元を離れ、モデルとして活動したいと考えている方がいました。とはいえ、これまでまったく経験がないため、素人の方に撮影を依頼し撮っていただいたようです。その写真は、なんと、雑誌の写真コンテストで入選し、掲載されたのです。

それから、別のカメラマンさんにも撮っていただいたようですが、2か月ほどして、彼女はSNSにこんな投稿をしたそうです。

「長い間、努力しましたが私はようやくモデルになることへの諦めがつき、ダンスの道に進むことにしました。今までの撮影で、たくさんの方にお世話になりました。もう後悔はありません」

彼女は、才能あふれる方ですが、見ている時間の単位が短すぎるような印象がありました。ある意味では、「見通しを早く感じられる能力」があるのかもしれません。そのあとも、料理、絵画など、いろんなものに関心を示し、始めてはやめ、を繰り返して、結局学業にも集中できず、3年生で留年となっていました。見方を変えれば、「留年して様々なことに取り組んだ年」とも言えます。

才能はお持ちの方なのですが、時間軸みたいなものをもう少し長く持たないと、なかなかご自分の思うような才能の活かし方は難しいように感じられ、私も毎回お会いするたびに、彼女の語るストーリーに追い付いていくのがなかなか難しいケースでした。

彼女の転機は、国家試験という具体的な目標が、2年後にあると気づいてからでした。2年後の国家試験を意識してから、美容に的を絞り、その結果いくつかのミスコンで入賞し、美しい医大生として、地域でのトークショーなどにも呼ばれるようになっていきました。

もちろん、最終的には、1年の留年はしたものの、女医さんとなっていったわけです。目の前のやりたいことで、成果を出したいときには、少し先の本筋の目標について見据えることで、「時を待つ」ということができるようになってくるのかもしれません。