25年間の臨床経験からみえてくる、疲れた心をいやす一番シンプルな方法についてお話しします。
個人的な臨床経験から申し上げますと
人の心と言うのは、かなりの部分が「感覚」と「言葉」で作られていると感じています。
例えば、
目の前に美味しそうな食べ物かある時
その食べ物を、「感覚」として「見て」「香りを感じて」「味わって」
そのうえで、それを言葉に変換します。
「おいしい」
というだけのこともあるでしょうが
「すごく、おいしい」
「香りがメープルシロップのようで、舌触りが滑らかで、優しい甘み」
とか、持っている言葉によって、感覚で感じられたものが、返還されて定着します。

『思い出』
というのもそうです。
同じ場所に出かけた2人がいて、その2人がみた景色が同じでも
頭の中で使用した言葉でどんなふうに表現したかによって経験が別のものになっています。
こんなふうに、私たちは、自分の使っている言葉に、心を支配されているということは、そんなに間違った考え方ではありません。
ですから、通勤電車などで
「あー、疲れた。やってられない」
という言葉が頭に流れている人は、そのような表情、雰囲気に見えませんか?
楽しそうに見える人の頭の中は、楽しそうな言葉がある事が想像できませんか?

これが、心をいやす簡単な方法のひとつめです。
「ネガティブな言葉をできるだけ頭の中に入れないこと」
これは、身体的な健康にも結び付きます。
ネガティブな心情というのは、ストレスですから、常にそうした状態にあると、免疫力や消化器系をはじめとした機能が低下します。
『習慣』として、頭の中にネガティブな言葉が多く流れないようにする、と言うことは必要ですが
悲しいことがあった時、辛いことがあった時に、それを抑圧してしまうことは別の話です。
『習慣』として、心がけていても、どうしても辛いことがあった時、悲しいことがあった時は、十分にそれを経験する、と言うことも、実は心を大切にする方法の一つです。
災害や事故などフラッシュバックは、突然の惨事に感情がついていかず、抑圧されてしまうことによって生じるとも言われます。
「辛かった」「悲しかった」ということを否定するのではなく、時間をかけて経験するのも大切なことです。
そうなると、やはり気分が落ち込みますし、疲れます。
その時は、もう、寝てください。

色々頭に巡って、眠れない、と言う時は、「体を横にしているだけでいい」と思って寝てください。
ユング派の精神分析家だった河合隼雄先生は、
「寝て起きるとなにか変わっていくから、どうしようもないと思ったときは寝なさい」
とおっしゃっていました。
確かにその通りだと感じることが多いです。
一番シンプルに心を休める方法は、実は「寝ること」だと思いますよ。
KIRIHARE所属 臨床心理士
